当社の社長の林正晃は神社の息子さんなので、暦の話や方位の考え方など、
現代生活ではあまり気に留めないような事柄をとても大切にしています。
実は大工さん達の言葉にもそれに通じるものがあります。
入社したての頃、棟梁の工藤さんにはいつも現場で面白い話を教えてもらいました。
例えば「逆木」…
本来木は土から空に向かって生えているもので柱に製材した後も上下を逆に使用しない。
逆木は不吉な出来事を起こすと忌み嫌われ、家鳴りの原因にもなると言われています。
「別れ継ぎ」…
木の根元の方を元口、上部の方を末口と呼び、木を継ぐ際には「送り継ぎ」といって、
元口と末口を組み合わせて継ぐようにします。
元口と元口、末口と末口を継ぐのは「別れ継ぎ」といって不吉とされます。
これらは古い迷信の様に感じられるかもしれませんが、実は元口の方が末口よりも密度が高く、
強度的にも強いのです。
力のかかる継ぎ手部分が弱いもの同士になることを避けるための知恵なのかも知れません。
木の性質を知る事はとても大切です。
時間が経つと樹皮に近い木表は凹面、中心に近い木裏は凸面に反ってきます。
その性質をわきまえた上で鴨居は木裏を上に、敷居は木表を上に使う事で垂れ下がりなく、
スムーズに使う事ができます。
材木の良い所も悪い所も深く理解して、工夫して使う。
大昔から伝えらえてきた大工さん達の知恵を知ると、各所にとても細やかな配慮を感じます。
最近では木の性質を熟知している大工さんは減ってきています。
現場で棟梁たちとお茶を飲みながら、どうにかこの知恵や技術を伝えていってもらいたいと強く思います。
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