今も昔も
2019/10/30 Posted by: カテゴリー:miutoの設計日記
先日、僕は施工部の先輩と新築工事の「遣り方」に同行しました。
遣り方とは、以前行った「地縄張り」の後に行われる作業で、
地縄張りで位置出しした場所の周りを囲むように木製の杭や板をなどを巡らし、
その板に土台や柱を正確に立てる場所に印を付けていく工程になります。
この作業をもとに基礎や柱などを作っていくので、
狂いのないよう正確さが問われる非常に大切な作業工程です。
遣り方は、頭(かしら)と呼ばれる基礎屋さんが
地縄を囲うように杭を打っていくのですが、
水糸と呼ばれる細い糸で水平になっているかを確かめながら進めます。
この時に水糸を使って三角形を作り、
三平方の定理を利用して正確な距離を出すのですが、
それが事前にcadで測っている図面上の寸法とピッタリ合っていることを確認します。
もちろん今回もピッタリ合致しました。
コンピューター上で寸法が出る技術がある一方、
遣り方や地縄張りは職人さん方の手作業での技術になり、
そこが一致するところに面白さを感じました。
また、図面と実際の寸法に差異があると作業が滞ってしまうため、
設計の段階でしっかりと数値を計算する、
隅々までチェックを怠らない、など当たり前のことを当たり前にできるよう
改めて責任を持って仕事をしていかなければと思いました。
調べてみると使用する機器類の違いはあるものの
「地縄張り」、「遣り方」はビルを建設するときでも
使用される技術であることがわかりました。
因みに「地縄」はお城を建てる時にも使用されていた技術らしく、
城好きの人はこの地縄を見て規模などを確認して楽しむ方もいたようです。
古くから伝わる技術や方法が今も変わることなく行われていることを考えると、
工事の一過程も少し感慨深いものに感じられます。
今、新築を建てようと考えている方や建てている方は、
自分の家の地縄や遣り方を見に行っても面白いのではないでしょうか。
自分の家の作り方を知ることと建築の歴史を同時に感じることができるかもしれません。