断熱性能のお話し
2017/10/11 Posted by: カテゴリー:Genba Diary
こんにちは、田中です。
先日、基礎が完成したばかりの新築現場に、左官やさんとの打合せに行ってきました。
今回は充填断熱のため、床下に断熱を施していますが、こちらのお家はキッチン部分が
土間仕上げになるため基礎にも断熱施工をしています。
完成すると見えなくなってしまうことが多い断熱の性能について、今回は少し詳しく
ご説明したいと思います。
この建物は長期優良住宅の認定を受けているため、”耐震性”や”構造躯体等の劣化対策”
など様々な性能項目の基準をクリアしています。
その中に”省エネルギー対策”も含まれており、最新のH28年省エネ基準に基づいて外皮
平均熱貫流率の計算がされています。
外皮とは、屋根(天井)、外壁、床、開口部など家の外部に面する部分のことで、
外皮平均熱貫流率とは、簡単に言うと建物の表面から外へ逃げる熱の量のことです。
すなわちこの値が少ない程、省エネ性の高い住宅ということになります。
この地域の基準値0.87W(㎡K)に対して、今回の計算結果は0.65W(㎡K)という高い適合
判定が出ています。
以前の省エネ基準(H11年省エネ基準)は床面積だけを元に計算していたので、
さらに計算が複雑になり大変ですが
より実際とずれの少ない正確な数値が出せるようになりました。
またこの改正省エネ基準では冷暖房、給湯、照明などの設備機器の性能である
「一次エネルギー消費量」も評価に加えます。
2020年には全ての新築住宅にこの基準が義務化されるので、今からその基準に合わ
せておく事がこれからの家造りには必要と考えます。
断熱材を選ぶ際は、この熱貫流率の基準値を満たしつつ、他にも施工性、意匠への影響、
コストや経年変化なども考慮しながら毎回最適な工法や種類を検討します。
ちなみにこの家の基礎の内装は左官仕上げになるのですが、下地から責任を持って施工
してもらうために、通常大工さんが施工することの多い断熱材施工を左官屋さんに
行ってもらっています。
少し硬い内容になってしまいましたが、何の変哲もない作業風景。
断熱材の選定から施工に至るまで、実は長い経緯があることを知っていただき、建築を
もっと身近に感じていただけると嬉しいです。