壁の個性
2020/11/27 Posted by: カテゴリー:Genba Diary,miutoの設計日記
今回は、店舗改装工事の墨出しについて書いていきたいと思います。
墨出しとは、現場においてどこに壁が来るのかなどの正確な寸法を、
基礎や下地の木材などに印をつけていく作業工程のことを言います。
新築の基礎工事の墨出しは、既に何度か経験しているのですが、
今回は店舗のリノベーションとのことで、いつもとは少し手順が変わってきます。
通常は壁芯と言って、壁の中心線の位置に印を付けていくのですが、
今回は室内のため、既存の壁から寸法を取っていきます。
水糸という細い糸に墨やチョークの粉などがついた「墨壺」という道具を使い、
壁厚やドア位置などもすべて床面に落とします。
新築の場合よりも、より具体的に壁の形が見えるので、
まるで広い室内に図面を書いているような感覚になり、
お施主様にも一緒に立ち会って頂き、
実際の広さの感覚を把握し共有することができました。
エムズデザインでは時々、
住宅でも店舗でもアールに湾曲する壁も手掛けることがあります。
アールの壁は空間に変化をもたらし、柔らかい空間を演出するのにも有効です。
今回のこちらの店舗では、エントランスから大きなアール壁が続いていて、
墨出しの方法も少し特殊でした。
方法としては、アールの壁が通る部分に数カ所印をつけ、
長い木材を使いアールの点に合わせてしならせながら形を取りました。
墨壺が使えない場合でも、
このように工夫して道具を作りだして対応していくやり方を見る事ができました。
エムズデザインではお客さまの希望を叶えるために、
複雑な間取りを作る事も多く、施工チーム側にもにも創意工夫が必要であると常に感じます。
どのように納めていくか、どうだったらお施主さまのご希望を実現できるかなど、
設計チームと施工チームとの考え方の共有や連携が、必須なのだと感じました。
現場では新しい発見が多く今回も自分なりに学ぶ事ができました。
・アール壁を使った店舗事例
・アール壁を使ったリノベーション事例