ヤツとの約束

 
 
 
ヤツと出逢ったのは、かれこれ10年くらい前かな。
 
ダメージジーンズがよく似合う、ちょっとオシャレな感じ。
 
でも正直、ぼくには以前つきあっていたヤツがいた。
 
最初のうちはお互い気をつかっていたけど、
 
共に向上していくことの約束には時間はかからなかった。
 
意識を集中させ、お互いを鍛え、磨く。
 
いつの日か、ぼくたちは強いパートナーシップを組み、
 
お互いの意識は完璧に打ち解けて、
 
言葉もいらない無意識の領域にいた。
 
 
ヤツはいつも通りぼくの相棒を務めてくれていた。
 
そして、ずーっと一緒にいると疑わなかったぼくに、
 
ヤツはメッセージを発した。
 
 
 
「そろそろ引退するぜ!これから先もガンバレよ!」
 
 
 
 
出逢った当時、各社はハイテクな方向に進んでいて、
 
ヤツのようなローテクはすごく少なくなっていた。
 
ローテクで、シャープな印象、うす底、
極めつけは、パンチングレザーで、色が白。
 
ぼくはイタリアデザインに感じた。
 
一目見て、惚れた。
 
 
 
それが今日、いきなり引退のメッセージをもらった。
 
プーマラインの部分から、やぶけてしまったんだ。
 
危険だよね、これじゃもうトレッドミルには乗れない。
 
だからぼくは今日、最後にウエイトトレーニングを一緒にまわった。
 
 
そう、ぼくは気に入るとずっと長く付き合うタイプ。
 
靴も、洋服も、車もバイクもギターも万年筆も。
 
 
ちょっと寂しい気分だな。
 
でもその裏側には、不思議な満足感もある。
 
多分、ずっと一緒にトレーニングをしてきた満足感かな。
 
お別れするのはつらいけど、ヤツはぼくに体力だけでなく、
 
忍耐力まで教えてくれた。
 
ぼくからのお礼は、ヤツを忘れないという約束をする。
 
 
 
今はもう、このかっこいいモデルは跡形もない。
 
ヤツはぼくを「健康フェチ」にしてくれた、ありがとう。
 
イカしたヤツとの楽しかった思い出。
 
 
 
 
 
puma.jpg
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   

投稿者: hayashi 日時: パーマリンク

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