葡萄狩りに行ったときのこと
葡萄棚の下での思い出、
房を摘むでなく、
粒を摘まもうとするぼくに手をさしのべてくれたあの人の手は暖かかった。
弟であるぼくの父への敬いを、幼き日のぼくはその伯母の手から感じ取った。
他人ではない兄弟というものがすべきことを教わり、離れる人でもの尊さを得た。
梓川を渡り、車の窓をあける、
外の温度が少し下がったのを感じたらそれを思い出した。
背が届かなかったあの葡萄の房に今ぼくの手は届くだろうか。
その敬いにぼくは届いているだろうか。
投稿者: 2016年4月5日|パーマリンク
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