シクラメンを買って帰ろうと思った。
ちょっと大きめでしっかりした株のヤツがいいと。
頭の中ではなんとなく、予算四千円台みたいなわけわからん根拠が思い浮かび、そりゃ高い!とかムリムリ足りないだろ!とか、まあ店に行ってから考えればいいかと、でも色は何色がいいかと…。
店前にならぶ鉢を見てすぐ決まった。
パープルがいい。
珍しかった。パープルのシクラメンてあったっけ?って考えるのと、パープルのシクラメンなんて知らない?っていう混乱が捲き起こりどちらが本当かわからなくなった。曖昧すぎるがまあいいや。
でも金額が…。
迷って迷ってウロウロしだすぼくに店員さんが、プレゼントですか?って。
はい、そうです。と答えたあと、小さい声で、ぼくに… って呟いた。
シクラメンは長く咲くから、と半ばこじつけの購入理由をぼくに叩きつけて思い切って買った。
プレゼント包装をしてもらったパープルシクラメンを片手にぶら下げた帰り道、何度かのぞき込んで紫色を楽しんだ。
その瞬間、やっぱり良かったと思った。
パープルシクラメンは他の色のものよりちょっとだけ小さくてこぢんまりとしていたが、部屋に置いたらちょうどいいサイズだと感じた。
いつもここにあればいいのに、と感じた。
いつもここにあれば、こんな風にいつもステキな気持ちになれるのかなと思ったから。
だけど、いつもここにあることが当たり前になって、あることのありがたさが感じられなくなるのかな?とも感じて、しかしそうではなく、それを超えてしまえば、いつも手をかけてあげることが当たり前になり、常にありがたさを感じていられるのではないか?とも思った。
上手に育てる自信はまったくないが、パープルを楽しむ自信は満々。
だからこれはうちの奥さまに捧げることにして、ぼくは横目でそれを楽しむことに変更した。
投稿者: 2017年12月10日|パーマリンク
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