よろしければこの曲をご一緒に… Essence / Renee’ Michele
(YouTube 音楽が流れます)
あぁ、今年もまた葉桜になってしまったと、数少なくなった花びらを肩に受けながら、今年の桜は散り際が綺麗だな、と悔し紛れに言った。
夜、車で帰る途中の桜に、あぁ、やっぱり夜桜は美しいぜ、と対向車のライトに照らされた瞬間にしか見えない桜とのご対面も残念だった。
去年は緊急事態宣言の最中、新築のお引き渡し現場の近くの満開の桜と過ごせた時間が幸せだったなと思い出して、今年はまだ咲いてるかもしれないかな、とその道を通ってみたら道路脇に役目を終えたように花は散り終わりがっかりした。
しかしその時にはわからなかったのだけど、実はそのがっかりした時間が幸せだったのだと今になるとちゃんと辻褄が合う感じがした。
物事の全ては移り変わる時に否が応でもその身を委ねられ、ゆっくりと馴染み、そして溶け込んでいく。
もう少し咲いていよう、とか、
もっともっと綺麗に咲こう、とか
そんなこと出来ないのは自然が教えてくれている、
その教え方さえあくまで自然にね。
桜を見ることを忘れた、のではなく、
桜そのものを一度忘れてみて、その時の出来事に視点を移してみる、
すると、思い出されるあの時、
さまざまな出来事を桜が飾り立てていてくれた。
迷いを抱えうつむくぼくを覆い尽くすように大きな桜の木が温かく包んでくれた時もあった。
家族皆で悲しみの別れを桜の木の下でしたこともあった。
咲き誇る数々の大木の桜が子供達の祝福を共に喜んでくれた時もあった。
とてつもなく短いこの季節、
それぞれの人の大切な時間を美しい思い出にするべく、その大切な思い出を飾ってくれるための脇役をあの淡いピンク色の花びらが担ってくれているのかもしれない。
満開の桜は美しい
しかし桜だけが美しいのではなく
桜とともにつくられる時間、思い出されるあの日の出来事、そのすべてが美しいはず。
この季節になると思い出す
たくさんの出来事の傍らに桜が咲いていたことを
そして忘れない
その人だけの桜が咲いていることを
桜が飾ってくれた美しい思い出のように
大切な人の思い出の中にぼくは生きたい
投稿者: 2021年4月11日|パーマリンク
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